Umberto Martinengoの徒然なる日々

IMFの文書・メディアリリースを見て一人であれこれ考えます。

Chapter 1: Global Financial Stability Report:

国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report)


WEOと並ぶFlagship Productsとされている。今月中旬にOverviewとChapter1がリリースされた。5月にさらに出てくる。


一部は専門的な面があり、あまりメディアも取り上げないが、IMFプロダクツの真骨頂であり、読めば読むほどに味が出てくる。わかりやすく記述するように工夫しているので理解できないとは思わないが、ニュースバリュー面で劣後すると解釈している。


同時期にリリースされたPress briefingで印象的だったのは、中国に関する質問対応である。質問が出てくるのは、中国の経済規模、パンデミックの影響から徐々に脱しつつあることから当然と思われるが、その場での回答が通り一遍であった。やはり今のIMFにとって中国は対話が難しいのだろう。


グラフやチャートは特に多くを語ってくれる。

レポート中のfig1-9における、短期成長率の確率分布の変化を示すグラフの引用である。


成長率の低下だけでなく、予想成長率の分布の標準偏差が大きく変化し、今後の状況により大きく下振れする可能性を示している。


エマージング市場への影響に留意した記述も重要である。殆どの国々が先進国以上に影響を受けやすいためである。最貧国へのサポートに向けた動きもリリースされているが、世界経済におけるシェアが増大する一方で、政策協調が難しく、規制の実施面で課題が散見されるエマージングマーケットは、機関のミッションにおけるチャレンジである。


これもレポートからの引用であるが、一覧性が高く把握しやすい

あと一週間はじっくり読み直したい。なお、当局者だけでなく立場によりいろいろな読み方ができることも付言する。

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