Umberto Martinengoの徒然なる日々

IMFの文書・メディアリリースを見て一人であれこれ考えます。

Malta ArticleⅣ Consultation

Maltaというと、あまり歴史・経済・政治の表舞台に名前が出ることはないが、日本人なら何を思い出すだろう。


ロードス島から移ってきたマルタ騎士団、WWⅠでの日本の応援艦隊の碇泊地(慰霊碑もある)、EU加盟国かつユーロが使える、BOV(Bank of Valletta)による金融サービス、米ソの冷戦終結宣言のマルタ会談、日本の学生の語学留学先、少し海外経験がある人の新婚旅行のデスティネーション、それからEmiratesでドバイからキプロス経由でのフライトといったところか。地中海産のマグロはこの国で水揚げになったものが日本の食卓に並んでいる。


旅行者・外国人には治安もよく、概してイメージが良い方の国である。


人口が42万人と少なく、外部資本流入もあり、国レベルでのIT化が一気に進む。電力メーターは短期間でスマート化が完了し、発電用LNG(液化天然ガス)導入も始まる。EUレベルの環境改善も進む。英語によるコミュニケーションが成立し、税務上のメリットや手続きの透明性も高く、投資ファンドで当地を選択するところもある。


こういう国は、IMFの評価では優等生の評価を受けやすい。なにより、財政バランスがリーマンショック・欧州債務危機後に改善しており、IMFの担当者も良い点を付けざるを得ない。


もちろん光には影が付き従う。アジア系の色こそ少ないが、外部からの不動産投資による資金流入が活発であり、不動産価格を反映して賃料も高騰している。下記の表を見てもここ数年の高騰ぶりは明らかである。

数年前に同国内でパナマ文書関連のジャーナリスト爆殺事件でも話題になった。下の表の通り金融及び関連サービスがこの国にとって肝要であり、正邪は別として、深く根を張っているが故の事件である。

総評としては、欧州共通のリスク、不動産関連に加えて、パンデミック・アウトブレイクを掲げている(確かに観光関連を中心に打撃はあるだろう)が、anti-money laundering and combating the financing of terrorism (AML/CFT)への対処も宿題とされている。


下記はレポート中の引用分析であるが、OECD/FATFによる評価は確かによろしくない。

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
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ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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